ご無沙汰しています。
今回は、黒の呪縛というテーマ。
■黒が似合うかどうか、考えた事はあるか?!
黒って誰でも似合うベーシックな色というイメージないですか?
黒は定番。
どんな洋服、小物でも、黒は基本色として入っている。
でも実際のところ、黒が似合うという自覚がある人、そんなに居ないと思いませんか?
むしろ、黒は定番だから、自分に似合っているかどうかという基準で見たことがない、という人の方が多いように思います。
カラーコーディネートの世界や、イメージコンサルタントの世界では、黒が似合う人は全体の約四分の一程度という認識があるようです。いえ四分の一より、もっと少ないかもしれません。
黒が似合うのは、髪や目の色が濃く、肌の色が青みがかった透明感のあるタイプの人。芸能人で言えば、嵐の松本潤、女優の大地真央、オードリー・ヘップバーンみたいなタイプの人です。そんな人、めったに見かけません。これらの人は、大した工夫もせず、ただ黒を着るだけで素敵に見えてしまう得な体質。

黒は人を選ぶ。似合わない人が身に着けるには、それなりに工夫がいる。
例えば、顔まわりには持ってこないようにする、とか、似合う色の方を目立たせるように着る、など。
それでも何故だか、黒は定番という事で通っている。
どうしてか?
■黒が定番という迷信は何故生まれた?
これ、はっきり言うと供給側の怠慢なんですね。
黒が定番だって刷り込んでおいて、とりあえず黒作っとけば、なんとか売れるんです。
とりあえず黒、みたいな理由で。
売り子さんも「黒は定番ですよねー」なんて、当たり障りのない言葉で客に納得させられる。
しかも、黒は定番だという刷り込みが激しすぎて、人は自分に黒が似合っているかどうかという観点で改めて見ることなく、仮に似合っていなくても「そういうものか」と適度に諦めて受け入れてしまう。
私の個人的な例を挙げると、私は黒が似合いません。
美術史を勉強してきて、自分も絵を描いたり、デザインの基礎も学んだため、色については多少の知識がある上で、薄々気づいていましたが、更にプロのカラーコンサルタントの診断も受けた上で、ずばり「黒よりグレーの方が似合うタイプ」と太鼓判を押されました。
黒い靴、バッグ、セーターが浮いて見える。ベーシックな色なのに似合わない、どうしてだ!そんな絶望的な思いに、あっさりと答えが出たのです。
つまり、そもそも黒が似合う人はそんなに居ないという事、そして私はその似合わない部類だった、ただそれだけの事だったのです。
それでも、人間の肌とそれに似合う色の理論を学び直すまで、なかなか自分に黒が似合わないという事実を納得できませんでした。当たり前のようにその事実を受け止めるまでには、それなりの時間がかかったのも確かです。
■売り手側が楽する理論に騙されるな!!
そこのあなた、黒が苦手と思っていたら、それ、別におかしくないですよ!!
そういう人もいるんです!!
さっさと黒なんて喪服以外では諦めて、似合う色着ましょうね。
たとえば、グレー、ベージュ、ブラウン、カーキです。
どれも十分に基本色として使えます。
ちなみに・・・・同じくベーシック・カラーと言われる真っ白・紺(鮮やかなもの)も黒が似合わない人には難しい色です。哀しいかな、基本基本と言われる色が、実はごく一部の人にとっての基本色でしかないのです。こんな当たり前の理屈も、世の中では浸透していません。
逆に、黒・紺・白が似合う人は、ベージュやブラウンやカーキは似合わせるのが難しい色です。
真っ白や真っ黒があんなに似合う萬田久子さんや、オードリー・ヘップバーンが、薄いベージュを着たところを想像してください。魅力が半減します。逆に、安室ちゃんなら、ブラウンやベージュが似合うんです。面白いですね、そういうものなんです。
こういう事はカラーの理論の世界の人は、ちゃんと知っていること。
多くの人が、こういう基本的な理屈を知るだけで、バッグ選びも、髪色選びも、アイラインの色選びも、ずっと楽になり、ずっとキレイな人が増えるに違いありません。
私は世の中がそういう方向になればいいな、と心から思います。
*補足、ちなみに、黒は本当に基本中の基本の色である事は間違いなく、一応誰でもなんとか気を付けておけば似合わせられます。ただ、黒を何の工夫もなく、全身黒づくめでも似合うグループの人がいる、ということです。いいなぁ、って思いますね。
*補足2 紺については、誰でも似合う色と言われています。しかし、いわゆる鮮やかな紺が似合うのはほぼほぼ5割くらいで、残りの人は鉄紺(くすんだ紺色)とか、明るめの紺とか、多少工夫が必要です。こういう知識、小学校で教えて欲しいですね。