【私が着ると安見え抜群なタータンチェックのスカート】
もう10年ほど前の話。
「どうしてだろう、アンタが着ると安物にしか見えない」
母が絶望的なため息とともに言った。
私が履いている、赤いタータンチェックのスカートの事だ。
それは、いわゆる朱赤がベースになったロイヤルスチュアートタータン的なチェック柄。
布の名誉のために言っておくと、ヨーロッパの某有名ブランドが使用したものの残りだ。
イタリア製の、母の見立てによると大変に素晴らしい上質な布らしい。
母が、タイトミニスカートに仕上げた。
「自分で言うのもなんだけど、縫製は上手い」
もちろん、私に合った図面で作って、身には完璧にあっている。
腰から尻にかけて、ちょっとつまんであるので、市販のタイトスカートのようにその部分がダブつくこともない。
つまり、もし購入したとしたら大変な値段になる最高級の布地で作ったオーダーメイドのスカートということになる。
にも関わらず、着て見ると、誠に安っぽい。
どうしようもなく安く見える。
このスカートに合うのは、生成りのようなナチュラルな色合いの白とか、ベージュ。キャメルとか。そういう色を合わせてみている。しかし、誠に安く見える。
どう見ても、どう見ても、安っぽい。
でも、脱いで、スカートだけを見ると、本当に上質で、美しい。
私が悪いのか?
【悪いのは私じゃない、相性の問題】
最初、私が悪いのだと思った。私が安い人間だからだろうと。
ここで比較対象としてもう一つのスカートについて話したい。
こちらも同じように某有名ブランドが使ったイタリア製の生地で、こちらはシルバーグレイと限りなくグレーに近いピンクのチェック。こちらは台形ミニスカートに作った。
こちらは、なんと擦り切れるまで着た。いろんな所で、それ素敵、と褒められる。
質の点では同じと言える。しかし、着たときの見え方が全く違う。
赤いタータンチェックは着たとき凄く安く見えるのに、このグレーピンクは高級品に見える。
ということは、必ずしも私が悪いとは言えないのでは??と思い始めた。
これ、結論から言うと、『上質なものなのに安く見える』とは、似合わない色を着たときの現象だったんですね。なんでだろう、なんでだろう、ってずっと思ってたんですが、そういう事だったみたいです。
いわゆる、パーソナルカラー診断なるものを10年くらい前に受けましたが、その時はそこまで真に受けていませんでした。人によって肌の色が違い、その色次第で似合う色のグループが違う、という話。
似合わない色を着ると安っぽく老けて見えて、似合う色を着ると高級感があって美しく見えるというのです。それは肌の色で決まって、大体4つのグループに分かれるというのです。
これ、どうやら若いときにはそこまで歴然と明確には似合う・似合わない事が自覚できないそう。歳とともに、肌にアラが増えて、似合わない色が絶望的に似合わなくなり、似合う色がより一層、自分のアラを隠してくれるようになるみたいです。
ということで、私はパーソナルカラー「夏」という診断を受けていたことを思い出すと、グレーピンクが似合うのはドンピシャだし、朱赤は全く似合わないので納得なのです。
【朱赤が似合う人に着せてみた】
パーソナルカラーなる色分類では、夏・冬(ブル―ベースと大きく分類)の人は朱赤が似合わないという定説になっている。そして、朱赤が似合うのはイエローベースと言われる春・秋の人なんです。
そしてこの春にあたる人に、試しに問題の朱赤のスカートを当ててもらったところ、素晴らしく高級で素敵なスカートに見えたのです。嘘みたい。
試しに、秋タイプの人に試着してもらいましたが、素晴らしく高級で素敵に見えました。私、悲しくなるくらい。
ということで、その人に貰っていただきました。
私が着るとスカートが可哀想だから。
この時思ったのが、このパーソナルカラーって本当に使えるんだな、って事です。
ずっと前、受けたときにはたいして気にも留めていなかったけど、今になって効いてきました。
世の中、誤診も多いらしいですが、私の場合は完璧に合っていたようです。
【追い打ち】
そこへ、オカンが追い打ちをかけるように「ずっとアンタが着ているキャメルのコートだけど、前から思ってたけど、全然似合わないね」と言うではないですか。「あと、カーキ色のトレンチコート、全く似合わないね、まだ着るの?」
キャメルとか、カーキって典型的なイエローベースの色なんですね。
土台、私には着こなせない色だった。
無理して着こなす必要もなかった。別にそういう職業じゃないし。
もう、全部やめる、似合わない色はもう全部やめる。
キャメルも朱赤も、抹茶色も、ベージュも、オレンジも、カーキも似合わない色全部。
私はこれで止めました。
クローゼット、半減。どころか、三分の一くらい。
物を減らす合理的な良い基準になりました。
それ以来、【夏】に分類される色ばかり身に着けるようになりましたが、とても便利です。
なんか、まぁ、踏ん切りついて良かったです。
ありがとう、似合わない朱赤のタータンチェックのスカート!
そんなこんなで、私には辛辣な母も、自分も似合わないと思うものをなんとなく着続けていたようですが、そういうのをキッパリやめたそうです。結果、洋服の着回しがよくなったとか。黒しか合わないスカートが、数十枚あったそうです。人の事言えませんね。
これ読んでる人で、若い人はパーソナルカラーを知っててもそんな気にしてないかもしれないけど、年取ったら分かるかも!!そして、知らない人は、是非一度調べて見てください。でもどうやら誤診が多いそうなので、そこはご注意!
【そういう目で見て見ると】
そういう目でみてみると、女優さんもモデルさんも、似合う色・似合わない色があると気づきます。ファッション雑誌でも、素敵なモデルさんが変に見えるとき、大体、その人に似合わない色を着ている。
それも、若いときならなんとか誤魔化せるけど、年を取ると似合わない度合いが深まる。
『姉キャン』が廃刊になりましたが、メインのモデルだったエビちゃんが年とって、何を着ても素敵だったころを過ぎて、似合わない色のときにどうしても老けて見えるようになっていました。これも一つの問題だったかもしれません。
そうやって雑誌を見るのも楽しいです!!
**ちなみに、エビちゃんは典型的なストレート体型。なのにキャンキャンお得意のウェーブ体型用のファッションを超スリムボディで着こなしていましたが、さすがに厳しくなってきた。色だけでなく、ふりふりフレアスカートファッションが似合わないのが目立ち始めたのも姉キャンが終わった大きな要因だと思います。もえちゃんは、ウェーブ体型でウェーブ似合うんだけどね、なんだかね。